死亡率2.1倍、オーラルフレイルの恐ろしさ【ミニコラム】

こんにちは。

オーラルフレイルってご存じですか?
介護の業界にいたものとしてはとても気になる言葉ですね。

オーラルフレイルとは?

オーラルフレイルとは、お口の老化と考えていいでしょう。
身体の老化と共に、口腔内も徐々に機能が衰えていきます。
例えば、口の筋肉低下、食べる機能の障がい、さらには心身の機能低下まで繫がる負の連鎖が生じてしまうことがあるんです。

それによって、固いものが食べにくかったり、活舌が悪くなったり、むせやすくなったり、いろいろな状況が出てきます。
このオーラルフレイルの改善が、健康寿命に影響するっていう訳ですから、気にしないわけにはいきません。

私も、ご飯を食べれてこそ生きてるって感じることが良くあります。
皆一緒ではないかもしれませんが、栄養を摂取するうえでも食べる機能の維持はとても大事なことです。

 

死亡率が2.1倍、要介護率が2.4倍

お口の機能が落ちるだけで、死亡率が2倍以上に上がるなんて、と思われた方もいるかもしれません。
でも、先ほどお話ししたように食べるということがとても大事になるんです。

千葉県柏市在住の高齢者 2,044 人を対象に 45 カ月間の縦断調査(柏スタディ)という研究があります。
もオーラルフレイル該当者は 2 年間の身体的フレイル、サルコペニアの発生はそれぞれ、2.41 倍、2.13 倍、また 45 カ月間の要介護認定、死亡の発生はそれぞれ 2.35 倍、2.09 倍であったとの結果が得られています

身体的フレイル  2.4 倍
サルコペニア  2.1 倍
要介護認定  2.4 倍
総死亡リスク 2.1 倍

それぞれの言葉についても定義づけていきましょう。

 

身体的フレイル

加齢に伴い心身の機能は徐々に低下し、虚弱に傾きながら自立度低下を経て要介護状態に陥っていきます。
全国民への予防意識を高めることも視野に入れ、2014 年に日本老年医学会から虚弱(frailty)のことを『フレイル』と呼ぶことが提唱されました。

 

サルコペニア

加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指しています。
年齢を重ねていくと痩せていくのはこのことかもしれません。

 

要介護認定と死亡率

今回の研究で言うと、45カ月以内に要介護状態になった方と、亡くなってしまった方の割合になります。
45カ月ですよ、45カ月。

4年弱の間でオーラルフレイルのある方とない方では、これほどの差が出ているということになります。
今回の柏スタディは2000人という大規模調査であり、認知機能や身体機能などを加味した260項目のデータを収集して行ったということでその信ぴょう性がさらに確認されます。

その怖さを知ったところでオーラルフレイルについてもう少し見ていきましょう。

 

オーラルフレイルの定義

日本歯科医師会によると、オーラルフレイルはこのように定義されています。

「老化に伴う様々な口腔の状態(歯数・口腔衛生・口腔機能など)の変化に、口腔健康への関心の低下や心身の予備能力低下も重なり、口腔の脆弱性が増加し、食べる機能障害へ陥り、さらにはフレイルに影響を与え、心身の機能低下にまで繋がる一連の現象及び過程」

分かりますか?

老化に伴う様々な口腔の状態(歯数・口腔衛生・口腔機能など)の変化に

これは、老化現象のことを言います。
歯が抜けて行ったり、歯周病や齲歯などの口腔内環境が悪化したり、唾液の量が減少したり乾燥したりが口腔衛生に当たるでしょう。
口腔機能としては、歯が少なくなり固いものが食べられないや、呑み込む力が弱くなった、舌があまり動かせず食べかすが溜まってしまうなどを表します。

オーラルフレイルの定義づけ、次の文にいきます。

口腔健康への関心の低下や心身の予備能力低下も重なり

年齢を重ねるにつれ、若いころよりも歯磨きが億劫になった。
認知症で自分でできなくなった。
手足も不自由になり、前ほど思ったとおりに歯磨きできない。
これらの口腔機能よりも、意識の問題や介護の問題、身体全体の高齢化がこれに当たります。

口腔の脆弱性が増加し、食べる機能障害へ陥り

そうなると負の連鎖が起き、当然ながら固いものは食べる機会は減り食べやすいものを食べることが多くなりますね。
また、栄養状態も偏る傾向にあります。
肉などのタンパク質、野菜などのビタミン、ミネラルなどが摂取しにくくなります。
その状態が続くとさらに筋肉や口腔内の状態が悪化し、食べれるものも少なくなったりしていきますね。

さらにはフレイルに影響を与え、心身の機能低下にまで繋がる一連の現象及び過程

この負の連鎖が続くと、悪化していくのは口腔内に留まらなくなっていきます。
栄養状態が悪くなるため、体の免疫機能や筋肉、消化機能などの全身状態が弱っていきます。
そして、それは心臓や胃、脳などの状態の悪化につながっていくのです。
他の一面としては、誤嚥性肺炎など嚥下機能の低下で起きる病気があります。
さらに、感染症なども起きやすい状態にあります。

このように最初は歯が少なくなった、口が乾燥するなど軽微な変化だったものが、その機能の低下が進んでいくことにより、全身の低下の原因になっていくこの負の連鎖をオーラルフレイルと言います。

次回は、オーラルフレイルの予防方法を見ていきましょう。